[本] ロングエンゲージメント なぜあの人は同じ会社のものばかり買い続けるのか

()

ロングエンゲージメント

ロングエンゲージメント なぜあの人は同じ会社のものばかり買い続けるのか
京井 良彦(著)
あさ出版 (2010/12/24)

 

私はWebを使った広告業をしていながら、広告が好きかと問われると、正直、好きではないというのが本音です。
 
というのはもちろんマス広告や野外広告なと、インターネット登場以前の一般的に広告といって想像される媒体に限ってです。
 
一時期、野外広告のない桜木町に住んでましたというくらい。やっぱテレビCMとか見て何か買うと、負けた感じがして嫌なんですよね。
 
そういう思いもあって、自主的に自分で情報を取りに行ける、厚かましさを感じないWebというメディアに自ずと引かれ、身をおいているのかもしれません。
 
 
大学の授業でも広告コミュニーケーション論とかあっても、そもそも広告が消費者とコミュニケーション取るって考えが理解できなかった。
 
だって、一方的じゃないかと。
 
そんな考えを持った中でこの本を読むと、すごくいろんなことがすっきりしました。今の時代だからこそ。
 
 
広告とはそもそも何?という部分から再構築させられます。
 
FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアが登場する中で、また様々な商品がコモディティ化されたこの時代において、人々と広告の関わり方がどう変わってきているのか。
 
目立つ広告を作ってもあまり人々は興味を示さなくなった。
 
新しいサービスや製品は大体どこの企業も似通ったりで、ちょっとばかし差別化された部分を訴求されても響いてこない。
 
この時代においては、生活者(この本では消費者とは意図的に呼んでいない)にいかに企業の思いに共感してもらうか。
 
あなたの自己実現に繋がる行動にもなることだと理解してもらえるか。
 
そういうことを主眼において生活者とのコミュニーケションを取っていくことがマストになっている。
 
共感してもらったその先には企業は生活者の一部となり、長く深い付き合い(ロングエンゲージメント)が構築されていくと。
 
それは本来人と人との付き合いにおいて、「あなただから信用して、買うんだよ」という基本的な商売のやり方に原点回帰しているんですよね。
 
あなたの思いやがんばりに共感する。だからあなたの紹介してくれたものは自分にとっても価値あるものとして買う理由があるんだよと。
 
ラッパ吹きながらやってくる街の豆腐屋さんとやってることは同じことなんですね。
 
この本で紹介されている広告を見ていると、もはや広告は広告でないような、決して企業が商品を売りたいがための広告ではない、すごく温かいものに見えます。
 
これからの時代の広告は生活を楽しくする。
 
広告に携わっている自分にとっては無限の可能性を秘めた楽しい世の中になっていくのかなというワクワク感を感じさせられました。
 
広告は嫌いだけど、広告の仕事をしている。でも面白い。でも何かが違う。そんなムズムズが解消する感じ。
 
自分がやっている仕事を広告と思う必要がそもそも無くて、世の中の人の自己実現を手助けする仕事、社会をよくするする仕事、世の中をワクワク楽しくさせる仕事という風に、捉えることができるなと。
 
一言で言うと、なんだろう、ソーシャルデザイナー?
 
こんな考えかたもちょっと前なら精神論として笑われたかもしれませんが、こんな思いも現実味を帯びるこの時代。いい時代ですね。

戦意

© 2012 戦意